チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲 〜 ドン底の中で作曲された名曲


Skype オンライン楽器レッスン Joyle(ジョイル)ヴァイオリン講師の早川乃里子です。

チャイコフスキー
チャイコフスキー

ちょうど先日、卒業試験でチャイコフスキー作曲のヴァイオリン協奏曲を演奏しました。演奏したのは第3楽章だけでしたが、審査員の方々から高い評価も頂き、ホッとしているところです。

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、数多くのヴァイオリン協奏曲の中でも、ダントツに有名です。今回はその魅力に迫ってみたいともいます。

ドン底の中で作曲された名曲

この曲は、ヴァイオリン好きな方だけはなく、あらゆるクラシック音楽愛好家に愛された名曲です。その魅力の理由を一言で言えば、それはズバリ、

「幼少時代から自身の中で抱え込んでいた誰にも言えない心の葛藤・コンプレックスを表現した曲」

だからと思っています。

この曲をご存知の方には、「あんなに明るい曲なのに、葛藤とかコンプレックスを表現?」と思わる方もいるかもしれません。

チャイコフスキーとアントニナ・イワノヴナ
チャイコフスキーとアントニナ・イワノヴナ

実はこの曲、チャイコフスキーが不幸のドン底の時に作られた曲なんです。作曲される1年前の1877年にアントニナ・イワノヴナという女性と結婚したものの、失敗し、モスクワ川で自殺を図るほど精神的に追い詰めらます。

その翌年に作曲に専念するためにイタリアに7ヶ月間の旅に出ました。しかし、そこでも鬱状態に陥り、毎日のようにお酒を飲んでいました。

この曲はそんな中で作曲されました。特に、第3楽章にはそうした中で生まれる「感情の波」が多く含まれているように感じます。

一方、同じ第3楽章では、ロシア舞曲の一種である「トレパーク」のリズムを取り入れることで、快活で印象に残りやすい曲に仕上がっています。

幸福感たっぷりの明るい曲想に、人に言えない感情、悲しい嫌悪感の感情・・・。そうした人間の光と影の部分が、この曲を魅力的にしているように思います。

聴いても良し、弾いても良しの名曲

この曲は、弾いていても楽しい曲です。前の章で説明したトレパークのリズムは、弾いていてとても楽しくなります。

第3楽章冒頭のトレパークのリズム
第3楽章冒頭のトレパークのリズム

こちらは、ある発表会での私の演奏です。上のリズムが分かると思います。

また、オーケストラとの掛け合いが全体的に多いのも魅力の一つです。それに加えて、曲の雰囲気が一気に変わる部分が多く、聴いていても飽きません。

さまざまな難しさ

この曲の難しさは、なんといっても技巧的に難易度が高く、音楽的にもとても深いことです。もし難易度に偏差値を付けるとして、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲が50ぐらいとした、この曲は80弱ぐらいの難易度なんです!

技巧的には、重音が続いたりピッチカートが混ざるパッセージを、高速に演奏することが求められます。

音楽的に難しいのは、このMolto meno mosso の部分でしょう。

img_1230

ここはチャイコフスキーの感情表現が求められる部分で、卒業試験に向けてかなり深掘りしましたが、まだまだ研究しがいがあると思っています。

名演も多い

有名な曲だけに名演も多いのですが、私が好きなのはドイツ出身のアメリカのヴァイオリニスト、デイビット・ギャレットの演奏です。この方は、洋楽のアレンジをしたり、作曲もするなど活動の幅が広いヴァイオリニストとして知られていますが、そのためか演奏の方も個性的です。

ヒラリー・ハーンの演奏も好きです。彼女の演奏は、非の打ち所がない素晴らしさです。弓を持つ右手の使い方がうまく、それを見て研究している人も多いです。日本にも度々来日していますから、ぜひ聴きに行って欲しいですね。


チャイコフスキーは他にもたくさんの名曲がそろっていますので、ぜひ聴いてみてくださいね。

話題の Skype オンライン楽器レッスン ジョイルは、0円体験レッスンから。

関連記事


The following two tabs change content below.
早川 乃里子(ヴァイオリン)

早川 乃里子(ヴァイオリン)

ヴァイオリンの敷居の高いイメージを払拭すべく活動しています。クラシックだけでなくポップスや機材を使ってのアレンジなど、融合した音楽を世界的に演奏を通して発信しています。音楽を聴くという「受動的」なものでなく、聞きたいという「能動的」なものになるよう心がけています。そのためには何が必要な要素となってくるのかレッスンの中で感じて頂けたらと思います。 レッスンでは「気づき」が「学び」であり「上達への近道」だと考えています。ヴァイオリンを通して音楽を楽しみましょう。 全国音楽コンクール6年連続オーケストラで全国大会出場。内2回は全国1位受賞。2016年オーストラリア(シドニー)公認ヴァイオリンパフォーマー。