
オンライン楽器レッスン Joyle(ジョイル)のサックス講師の千野哲太です。
以前、ピアノにおける特殊奏法を紹介しましたが、今回は僕の方からサックスにおける特殊奏法について紹介したいと思います。
新しい楽器”サックス”
特殊奏法に触れる前に、まずサックスという楽器について少し説明します。
サックスは、1840年代に発明された比較的新しい楽器です。また、木管楽器の中、サックスは円錐管(ベル)を持つ楽器です。
サックスは、倍音を多く含むため、低音から高音までの音色の統一性が他の木管楽器に比べると小さい楽器です。低音は広がりやすく、「びゃー」という汚い音がでてしまいがちな一方、高音は管が細いので響きが少なくなります。
新しい楽器であること、そして独特の音色の特性が、サックスを面白い楽器にしています。そして、サックスは今でも研究され、数々の特殊奏法が生まれました。そんなこともあり、サックスは現代曲の中ではかなりメジャーな楽器なんです。
今回は、そんなサックスの特殊奏法を、千野の実演を交えながらご紹介します。
1. 循環呼吸
循環呼吸とは、音を出し続けるための奏法です。ようは、息をずっと吐き続けるわけです。
「え?吹いているのに吸えるわけないでしょ」と思った方、この動画を観て下さい。切れ目なく、ずっと音が出ているのが分かるでしょうか。
もちろんサックス奏者も人間ですから、息を吸う瞬間があります。では、どこで吸うのか。それは、自然と息を吐く瞬間を作り、その間に吸うのです。
やり方としては、
- 息を吐きながら、口の中に空気をためる
- 息が切れたら、ほっぺの力で口にためた空気をサックスに吹き込む
- 2. の間に鼻から息を吸う
という感じです。
仕組みがわかっても難しい奏法なのですが、口の中に空気をためる時に、口先で吐く息の抵抗を利用するのがコツ。また、「口から出す息」と「肺から出す息」の切り替えのタイミングに生じる圧力差を、できるだけ小さくしたいところです。最初は、トリルから練習すると良いでしょう。
サックスには、この循環奏法を使わないと吹けない曲が数多くあります。例えば、フランス人の作曲家クリスチャン・ロバの「バラフォン」という曲。バラフォンとは、西アフリカの民族楽器のことです。この曲には、循環呼吸で吹き続けなさい、という指定があり、ずっとスラーが続きます。
循環呼吸は普通の奏法になりつつありますので、ぜひマスターして欲しいですね。
2. スラップタンギング
スラップタンギングは、サックスを打楽器として扱う奏法で、サックスやる人ならみんなやりたがる奏法の一つです。
スラップタンギングは、舌を使ってマウスピースをリードで叩きます。コツは、舌を吸盤のようにしてリードにくっつけ、舌打ちをする感じです。慣れると、動画のように音程を作ることもできます。また、ハーフスラップや音程のないスラップなど色々な種類があります。
この奏法も、循環奏法で紹介したクリスチャン・ロバの曲で使われ、原住民が叩いている太鼓のような「高速スラップタンギング」も登場します。楽譜中には、「Slap.」「slap tonguing」と書いてあります。
3. 重音
最後にご紹介するのは、この重音。「重い音」ではなく、「重なった音」のことです。その名の通り、複数の音を同時に鳴らす奏法です。円錐管ならではの、色々な倍音を含めるのが特長です。
動画では、うっすら高い音が鳴っているのが分かると思います。
運指によって、うまく倍音の音を鳴らすのがポイントです。
この奏法は、棚田文則さん作曲の「ミステリアスモーニングⅢ」というサックス曲に出てきます。楽譜上では、実際に2つの音が書かれ(例:ドとミ)、運指も書いてあります。
ぜひ僕のレッスンで、特殊奏法をマスターしてくださいねー!
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千野 哲太(サックス)

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