
音楽とは何だろう、ということをたまに考えます。
「音楽が好き」といった時の「音楽」とは、クラシック音楽を指す場合もあれば、J-Popを指す場合もある。その言葉を使う人の嗜好や場面によって、全く異なる「音楽」を意味するのだから、「音楽が好き」という言葉は、実は何も言っていないのでは?と思うこともしばしばです。
ところで、こうした「音楽」の中で、「クラシック音楽」と「ポピュラー音楽」という2つの音楽は、相対するものとして語られてきたように思います。古いものと新しいもの、マイナーなものとメジャーなもの、などなど。しかし、近年ではこの境界が曖昧な場面が増えてきたように感じます。
これは一旦、2つの音楽を整理する必要がありそうだな、と思っていたところに「クラシック音楽におけるポピュラリティの諸相 ―― 作曲家・新垣隆氏を迎えて ――」というシンポジウムを見つけたので、行ってきました。
クラシック音楽とポピュラー音楽を分けるもの
この違いを分かりやすく話してくれたのは、国立音大の吉成順先生。曰くポピュラー音楽の特長を、
- 理解しやすい
- 新しい
- 民衆向き
であるとし、それに対するクラシック音楽を
- 古いもの → 古典(いわゆるクラシック音楽)
- 理解し難いもの → 現代音楽
と区別していました。
また、この2つの音楽は、今ではカテゴリーではなく、「スタイル」として捉えられているとしています。これは重要な指摘。例えば、「ディズニー・オン・クラシック 」といったときのクラシックは、「オーケストラ」の意味でしかありません。
また、ジョン・ウィリアムズやゲーム音楽がクラシックを分かりやすくしていったことで、ポピュラー「的」・クラシック「的」というようにそれぞれが相対的なものになってきたことを指摘しています。
新垣隆氏の今
「クラシック界でもっともポピュラリティが高い存在」の新垣隆氏の話で興味深かったのは、以下の点。
- 「みんなに分かってもらわなければダメなんだ」という佐村河内氏の言葉には共感している
- すべての音楽はエンタメである
- 人々の関わりの中で作っていく音楽、出会いによって生まれる音楽を続けていきたい
一つ一つ、言葉を選んでいるような話し方に、氏ならではの重みのようなものを感じました。
結論
現代においては、クラシック音楽とポピュラー音楽の違いはスタイルの差でしか無く、もしかすると聴き手の捉え方や演奏の環境によるものでしかないのかもしれない。
そして、「のだめカンタービレ」を始めとする音楽アニメの人気や、ミレニアル世代を聴衆に巻き込んだ「Groupmuse」のようなサービスの台頭に、「古くさい」「難しい」と思われがちなクラシック音楽を再生する(ポピュラー化)きっかけがつまっているだろうし、我々も一翼を担いたいなと思った次第です。
ちなみに冒頭の写真は、イベントのあった立教大学キャンパスの風景。シンポの写真はNGでした。
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小池宏幸

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